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杉並の風

  
新 年 に 思 う 事

                                            久津 正行 (S26経済)  
   
新春をお祝い申し上げます。古来、日本では新春を寿ぎ、良い年にしようと新たな気概で臨む美しい習慣があります。海外の諸国でも、年末にその年を惜しみ、苦楽を年忘れのパーティーで、花火、爆竹などで盛大に送り、大きな期待をもって新年を迎える習慣があります。


しかし世界が段々文化の交流、交通通信などの新技術の展開で、距離が狭まり、時間も共有する事になって、遠隔のアフリカなどの小国の出来事が、電波に乗って瞬時に飛来し、対応を迫られたり、津波のように流れに脅かされるようになって来ました。
自分の周りを見るだけで済んでいた時代から、見たり、聞いたり、考えたり、学習したりする事が増えてきますと、一年に処理する事が多くなり、相対的に時間の流れが速くなって、問題を処理できぬままに、年を越す事も多くなっています。複雑なグローバルの時代では、一年では解決できぬ問題が溜まって来ています。昔から大工さん言葉に「残し半日」と云う名言がありますが、一寸した作業でもその日に処理すれば30分で出来る事も、翌日に残すと半日掛るという真理を言い当てています。
折角気概を持って新年をスタートしても、“継続と情熱”が無くては直ぐ難題に呑み込まれて、「残し」や「先送り」になりかねません。ただ新年を寿ぎ、安全や幸運を望んでも、多少の思考とエネルギーの火を絶やさず行動しない限り良い年はやって来ないと思うべきでしょう。

昨年来、坂本竜馬の「竜馬伝」や司馬遼太郎の「坂の上の雲」のテレビドラマがお茶の間の話題になっています。日本の近代化の黎明期に於いて、その激動の流れの中で当時の若い愛国の壮士たちの体を張った行動と情熱に感動させられます。一方、その後振幅の激しかった明治―大正―昭和と世界の環境変化や、外交的諸問題を乗り越えて、作り上げて来た経済大国、日本に、又新しい試練が降りかかっています。今テレビドラマに感動しているだけでは無意味であり、新しい世界観で勇気を持って立ち向かう事を示唆していると意識を切り替えたい所です。

慶應義塾は150周年を過ぎ、新しい時代の大学を目指して構築中であり、杉並三田会も一年半後に20周年を迎えます。今後更に一層広い目を持って“継続と情熱”の火を絶やさす皆さんと共に歩んで行きたいと思っております。   以上 




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